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メタボリックシンドロームと臨床検査2
内臓脂肪と皮下脂肪では、エネルギーの使われ方も違います。エネルギーの備蓄を預金に例えると、内臓脂肪は日々の生活のための普通預金、皮下脂肪はいざというときに備える定期預金や積立預金といえます。
つまり、内臓脂肪は比較的容易にたまるものの、容易に燃焼することができるので、日々の食事や運動を心がければ減らすことは十分に可能です。
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満。この2つのタイプのうち、「皮下脂肪型肥満」は外見から明らかにわかりやすいですが、「内臓脂肪型肥満」は外見ではわからないことがあります。
内臓脂肪型肥満を簡単に調べる方法として、ウエスト径(へそまわり径)が男性では85cm以上、女性では90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満が疑われます。
メタボ腹囲は科学的根拠なし…線引き困難
厚生労働省研究班(門脇孝・東京大学教授);2010年2月9日
診断の必須項目の腹囲の数値によって、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の発症の危険性を明確に判断できないとする大規模調査の結果をまとめた。
同研究班は2009年、腹囲が男性85センチ、女性80センチを超えると、血糖や脂質などの検査データの異常が急激に増えるということを明らかにしたが、今回の発症との関連では腹囲基準の妥当性は導きだせなかった。
国際的には、腹囲を必須とせず、総合的にメタボを診断するのが主流。ただ、今回の研究でも肥満の人ほど発症しやすい傾向は変わりない。現行の基準でメタボと診断された人は、そうでない人に比べて発症の危険性は男性で1・44倍、女性で1・53倍高かった。
あなたは「洋なし」? それとも「リンゴ」?
体のどの部分に脂肪がつくかによって、肥満は2つのタイプに分かれます。
下腹部、腰のまわり、太もも、おしりのまわりの皮下に脂肪が蓄積するタイプを「皮下脂肪型肥満(右の写真)」、内臓のまわりに脂肪が蓄積するタイプを「内臓脂肪型肥満(左の写真)」とよびます。体形からそれぞれ「洋ナシ型肥満」「リンゴ型肥満」ともよばれています。
子供にも広がるメタボリックシンドローム
下のグラフは、6~12歳における肥満傾向児の出現率推移です。
1977年(昭和52年)には100人中5人しか肥満傾向児がいなかったのに、年を追うごとに割合が増えていき、2006年(平成18年)には100人中8人にまで増えています。
子供のメタボリックシンドロームの診断基準
●必須項目
- ウエスト周囲径:中学生80cm以上、小学生75cm以上、もしくはウエスト周囲径(cm)÷身長(cm)=0.5以上
●選択項目(これらの項目のうち2項目以上)
- 収縮期(最大)血圧:125mmHg以上かつ/または 拡張期(最小)血圧:70mmHg以上
- 空腹時血糖:100mg/dL以上
- トリグリセライド(中性脂肪):120mg/dL以上かつ/または HDLコレステロール:40mg/dL未満
内臓脂肪が増えると循環器の疾患が増える理由
大阪大学分子制御内科学教室で脂肪細胞について研究を行っていたところ、脂肪細胞で分泌されている未知の物質を発見しました。
この物質は「アディポネクチン」と名付けられ(アディポとは“脂肪”という意味です)、標準的な体格の人の血液中には多く存在し、内臓脂肪が増加すると、反対にアディポネクチンは減少することが明らかになりました。
アディポネクチンは体の中で、どのような働きをしているのでしょうか。
どんな人でも、普段からタバコや血圧、血糖値の上昇、血中脂質、悪玉のアディポサイトカインなどによって血管が少しずつ傷つけられています。
血液中を流れて全身を巡っているアディポネクチンは、血管が傷ついているところを見つけると、すばやく入り込んで修復します。さながら、体内の至るところで起きる「ぼや」を「大火」にしないよう、消して回っている消防隊にたとえることができるでしょう。
内臓脂肪が増えるとアディボネクチンが減少するため、血管の傷が修復されず、血管の弾力がなくなっていきます。そのために高血圧や脳梗塞や心臓梗塞なども起こりやすくなるのです。
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